以前にコーヒーの飲みすぎは妊娠に良くないという記事をブログに掲載しましたが、精子について記載していなかった事に気づき、今回、紹介させていただきます。
本日の内容はこちらの論文を参照しています。
Coffee and caffeine intake and male infertility: a systematic review
(コーヒーとカフェイン摂取が男性不妊に与える影響:システマティックレビュー)
この論文はイタリアのRicci氏らが2017年のNutrition journal誌に発表した研究です。
こちらはシステマティックレビューですので、いくつかの論文を集めて総合的な判断を行っています。
どういうことかと言いますと、コーヒーと男性不妊というキーワードから文献検索システムでひっかかってきた論文から、
重複したものや、全文ないもの、英語でないものなどを除いて、男性不妊に関係するものだけを抽出して調べています。
この様な方法をとる事によって、偏った研究だけを取り上げるリスクを軽減させています。
この様な過程を経て、最終的に28論文19967名の男性が含まれたレビューになっており、主に精液所見、精子のDNA損傷、妊娠率を調べています。
まずカフェインの摂取と精液所見の関係を見てみましょう。
上の方がコーヒーで下二つがコーラで調べています。
太字になっているところが、統計学的に差があった部分になりますが、コーヒーはほとんどの報告で影響がない事が分かります。
これ以外にも4つほど報告がありましたが、すべての項目で有意差なしでした。
ただ、2つだけコーヒーの摂取が運動率を上げるという報告がありました。
一方、コーラでは多く摂取するほど精子数を下げるという結果が見て取れます。
ただコーヒーでこのような変化が報告されていないところを見ると、カフェインの影響というよりもコーラに含まれる砂糖やコーラと一緒に食べるジャンクフード類が問題となっているのではないかと思われます。
続いて、DNAの損傷について調べています。
これも報告によって結果はまちまちですが、コーヒーの摂取により精子の染色体異数性がやや増加したという研究があり、喫煙や飲酒といった要素で補正しても影響はあると報告されています。
DNA損傷に関してはコーヒーと関係ないという報告とコーヒーを毎日飲んでいた方がDNA損傷を認めたという報告が混在していますが、コーヒーを飲んでいた方が良かったという報告は無いようです。
最後に決められた期間内での妊娠率ですが、コーヒーを1日3-7杯飲む人は、3杯以下の人に比べて0.8倍、8杯以上飲む人は0.6倍であったという報告や3杯以上飲む人は0.85倍であったという報告があり、男性のコーヒーの飲みすぎは妊娠までの期間を延長させるという報告が多くなっています。
ということで結論としては、
・男性のコーヒー飲みすぎは、精子のDNA損傷リスクなどの要因から妊娠に悪影響を与える可能性がある。
という事でした。
とはいえ研究によってばらつきがあること、影響あると言われる量がかなり多い量からであることなどから、それ程気にしなくても良いのではないかと思います。ということで、アルコールと同様に、
・コーヒーは適量に(1日3杯まで)
くらいの感じで考えていただければいいのではないでしょうか。